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    110カメラ探訪記(第一回) コダック・スタイルライト/ドンキーボックス
    かつて全盛を誇ったものの実質的に消滅してしまったフィルム規格の代表格として「110フィルム(インスタントフィルム)」の存在が挙げられます。カートリッジ式フィルムをポン!と放り込むだけでフィルム装填が完了し、かつ巻き戻し不要で取り出しも容易な110フィルムは、その簡便さから70年代後半〜80年代前半の簡易カメラ市場を席巻しました。しかし、1986年に富士フィルムより登場したレンズ付フィルム「写ルンです」が110フィルム&カメラに置き換わる形でその市場を奪い始め、やがて35mmフィルムを採用したレンズ付フィルムが普及するにつれ、小型故に35mmより画質の劣る110フィルム&カメラは緩やかに淘汰されていったのです。

    そして近年、遂に110フィルム絶滅の噂が飛び交っています。
    また一つ村が死んだ・・・・(ユパ様とは何の関係もありません)ではなく、また一つフィルム規格と撮影文化の残照が消えつつあるのです。個人的に110フィルムには思い出も多いので、不定期連載として「すきもの屋」セレクトの個性的な110カメラ達をご紹介していきたいと思います。



    コダック スタイルライト
    Kodak Stylelite pocket camera

    USコダック製の「ポケットカメラ」です。しかし単3電池×2使用のフラッシュを収めたせいか、とても普通の日本人の服装のポケットには収まりそうにないサイズです(笑)。シャッター速度・絞りとも固定で撮影モードの変更はといえばフラッシュON/OFF切り替えのみという潔さが110カメラらしいともいえます。

    USデザインならではのベージュ&ブラウンのボディーと半透明のレンズカバーが、国産カメラに無い個性と魅力を感じさせてくれます。



    110カメラの殆どの機種が、裏蓋を開けて直接フィルムカートリッジを放り込む方式を採用しており、またこの簡便さが同規格最大の魅力の一つともなっています。

    もちろん、ファインダー内にはブライトフレームなどありません。
    見たままを撮りましょう(笑)



    大きさを比較するため、オリンパスペンEESと並べてみました。
    ポケットなんてサイズじゃありません・・・・
    (我が家のエアコンのリモコンより大きいです)





    ドンキーボックス
    Donkey box

    販売時期・メーカー共に全く不明の国産カメラです。思わず「何やねんこれ!」と突っ込みたくなる、異様なまでにシンプルで掴みどころのないB品丸出しのルックスがスタイルライトと好対照を成しています。
    こういうカメラ、実は大好きです。

    もちろんシャッター速度も絞りも固定で、レンズカバーも付いてません。
    フラッシュなんて外付けですら付きません。



    当然のごとくフィルムは「後ろからポン!」方式です。
    何の芸もひねりもありません。

    フィルム確認窓がスライドして裏蓋ロックを兼ねている辺りにちょっと「オサレ心」(断じてオシャレではない!)を感じてしまうのは気のせいでしょうか。



    またまたペンEESと並べてみました。
    流石に携帯性は良好です。

    高い金払って110フィルム使用のトイカメを買うよりも、むしろこっちの方がいろんな意味で楽しめるかも知れないですね。ガチャガチャの景品的な楽しげなルックスでもありますので。




    かつては実用目的、或いは低価格な記録媒体として存在した110カメラ。しかし今では「手軽に面白い絵が撮れる趣味カメラ」として若者中心に評価され、いわゆるトイカメラの一形態となり存続しています。

    110フィルム一眼レフという超例外(!)を除き、画質も何ら見るものはありません。
    それでも、110カメラ達はこれからもしぶとく生き続けるでしょう・・・。

    ストレスの多い日常に疲れた時の癒しにどうですか?
    洒落っ気と個性が同居したカメラでの、チープで楽しいフォト体験なんてのは。



    テーマ:★カメラ&レンズ・機材 - ジャンル:写真

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    キャノン EX−AUTO【概要と特徴】


    一眼レフカメラは、その誕生以来いつの時代も憧れの対象であり、カメラの王者と呼ぶべき存在であり続けています。そして、複雑で高度なメカニズムを持ち高価な一眼レフを身近な存在にしてくれるのが普及機、いわゆる安価な機種の存在なのです。
    殆ど全てのメーカーが普及型一眼レフ機を擁する中、キャノンも60年代末に大衆向けの安価な一眼レフ「EX−EE」を発売します。そして1972年3月、そのEX−EEの改良型である「EX−AUTO」(定価48,500円)が登場し、レンジファインダー機「キャノネット」で既に大きな成功を収めていた高性能大衆カメラ路線にてヒットを狙いました。
    が、EX−AUTOはそこそこ売れたのみで時代の徒花として消えてゆきました・・・・
    それには大きな理由がありました。

    EX−AUTOは、良くも悪くも独自性が強過ぎたのです。

    EX−AUTOは一見すると普通のキャノン一眼レフですが、コストダウンと操作の簡易化を図ってか、大胆な設計が随所に見られます。



    EX−AUTOの軍艦部です。
    普及機の宿命か、シャッター速度は最速1/500秒です。基本的にシャッター速度優先EEで使う事を前提としたビギナー向け機種ですので、ミラーアップやプレビュー(絞込み)機構の類は全く装備されていません。

    シャッター速度優先EEとマニュアル絞りの切り替えは、巻き戻しクランク根元のダイヤルにて行います。[EE]位置でEE機構が作動し、[OFF]で電源が切れます。マニュアル絞りモードはf1.8〜f16の範囲で無段階設定が可能で、電池が無くとも作動します。但し、マニュアル絞りモード時はTTL露出計が作動しませんので、完全マニュアル操作となります。



    撮影モード切替/絞り調整ダイヤルです。
    マニュアル絞りモードの際は、ファインダー内指針で絞り値を確認しながら無段階に設定できます。しかし、シャッター速度を確認するためには一旦ファインダーから目を離す必要があり、余り良好な操作性とはいえません。

    シャッター速度優先EE時は、選択したシャッター速度に応じて自動的に選択された絞り値がファインダー内に指針表示されます。測光方法はTTL式中央測光で、この時代としては水準レベルのものです。



    同社のレンジファインダー機に採用され好評だったフィルム装填補助メカ「QL(Quick-Loading)機構」も、簡易な操作性が求められる普及機らしく採用されています。フィルム先端部をカメラ右側の赤い印に合わせて蓋を閉め、空シャッターを何度か切るだけでフィルム装填が完了する便利な機構です。



    一眼レフの要といえるレンズはというと・・・何と前群のみが独自規格のスクリューマウントで交換可能となっており、他の部分は全て固定式です。望遠/広角レンズがオプション販売されていましたが、この辺りはコストダウンの弊害というべきでしょう。先代EX−EEだと望遠/広角レンズ交換時にf値を切替える必要があったのですが、EX−AUTOではマウント内壁に突出した爪でレンズの種類を検知して自動的にf値が切り替わります。このレンズは、前群込みで4群6枚の構成となっています。

    電池はH−D水銀電池対応となっており、現在発売されている同一寸法・電圧の代替電池でそのまま代用可能です。




    そしてEX−AUTO最大の驚異といえば、異常なまでに明るいファインダーです。
    これは、通常の一眼レフ機なら画面全体で行うピント調整を画面中央部のみで行い、残りの画面に関しては素通りで被写体が見える構造(全面空中像)によるもので、下手なレンジファインダー機顔負けの素晴らしいファインダーの写りは「最高」の一言に尽きます。

    画像ではその凄さが伝わらず残念ですが、このファインダーは必見です。



    キャノンの黒歴史とヤシカの黒歴史を並べてみました(笑)。
    この記事を書いている時点では、EX−AUTOの実写はまだ行っていませんが、ヤシカペンタマチック2が意外なまでの高い実力を見せてくれたように、予想外の番狂わせが起きそうな予感がします。

    ともあれ、EX−AUTOのファインダーを一度覗いてみて下さい!
    液晶ビューファインダーが暫く正視できなくなる事請け合いです。



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    昭和光学 セミレオタックス【概要と特徴】


    「ナチスの科学は世界一イィィィィ!」(引用元:ジョジョの奇妙な冒険)とはよく言ったもので、第二次大戦当時のドイツの科学技術、特に光学技術は間違いなく世界一でした。そんなドイツの技術を世界各国の企業や軍、研究家がおおいに模倣したのも当時の世界的傾向であり、カメラの世界でも無数の模倣品が製造販売され、優秀なドイツ製カメラの模倣によるノウハウの蓄積が、戦中から50年代にかけて国内主要カメラメーカーの大きな技術的基礎となっていったのです。

    さて、1941年といえば、私達日本人にとって忘れる事の出来ない太平洋戦争開戦の年です。今回ご紹介する昭和光学製「セミレオタックス」は、日本中が戦争一色に染まっていたこの年に生まれたドイツ製品コピーカメラです。セミレオタックスのコピー元はツァイスイコン社製「ネッター2」とされており、実際に画像を比較してみると殆どの部分が瓜二つといって良い程に酷似しています。



    基本的にはコピー元のネッター2と同様の645判スプリング(蛇腹式)カメラですが、3枚羽根のシャッターユニットはNKK社製との表記があり、レンズは3群3枚のS-REGINON 75mm(メーカー不明)が付いています。ピント調整は前玉回転式、シャッター速度はB(バルブ開放)、1秒、1/2秒、以下1/5、1/10、1/25、1/50、1/100、最速1/200秒が設定されています。筒抜けのファインダーはファインダー左のレバーを「4」の位置にする事で4フィート未満の距離でのパララックス補正が可能となっています。
    しかし、このファインダーが曲者で、視界が最悪なのは勿論ですが、実際に使ってみても全く構図が思うように切れません。パララックス補正もファインダーユニットの尾部を押し上げるという乱暴なもので、ノーファインダーの方がストレス無く撮影できる事請け合いです。ちなみに初期型ではレシプロ戦闘機の照準器のような可倒式のファインダーが付属しており、実用性ではむしろそちらの方が上だと推測されます。

    画像の個体は、ファインダー形状から終戦後昭和23年の再発売を経て昭和26年にマイナーチェンジされた後の普及タイプモデル「DL型」だと推測されます。昭和26年のマイナーチェンジの際に登場したレンジファインダー搭載モデルは「R型」と呼ばれ、さすがにレンズとの連動はできませんでしたが、距離計の数値を反映する事でかなり正確なフォーカシングを可能にしていたようです。もちろんDL型は目測でピントを合わせる事となるのですが、被写界深度の浅いレンズですので・・・距離感覚が掴めない内は苦戦します。



    裏蓋を開けた様子です。
    簡素ながらしっかりした作りをしており、蛇腹の損傷も簡単に修理できる程度のものでした。ブローニー判カメラの例に漏れず、赤窓確認式の巻き上げとなっています。この時代のカメラは構造がわかりやすく、例えコピー品の普及機でも手抜きのない仕上がりとなっており、分解清掃を安心して堪能できます。



    カメラ背面です。
    ファインダー接眼面を見ればわかるように、ファインダーは本当に使えません。
    クラシックカメラとしての貫禄を十二分に備える一方で、気軽に使えそうな親しみを感じさせてくれる優れたパッケージングだと思います。しかし、この評価はコピー元のネッター2を生んだツァイスイコンに対して与えるべきなんでしょうね(笑)。



    収納形態で、120フィルム箱と並べてみました。さすがはスプリングカメラだけあり、驚く程コンパクトに収納できてしまいます。

    このセミレオタックスは非常に魅力的なカメラです。
    しかし私は、敢えてこのカメラを酷使する気はありません。

    なぜなら、スプリングカメラは「危険」だと本能的に感じてしまったからです。
    ちょっと前にマミヤ6をお借りして遊ばせてもらった時にその思いは確信に変わったのですが、言葉にできない魔性の魅力がスプリングカメラには宿っています。それは、金属と革と布と紙の絶妙な共存に由来するのかも知れませんし、プリミティブな中に潜むメカニカルな要素・・・最もダイレクトにシャッターユニットの鼓動を感じられるシステム・・・のせいなのかも知れません。

    ・・・と書きつつも、マミヤ6の誘惑にはあっけなく敗北しました。
    カメラ趣味は冥府魔道・・・・・・・・・。

    フィルム面を前後に動かしてフォーカシングするなんて、マミヤさん凄いよ。
    しかし、現像結果を見ると、なんかフィルムがフォーカシングの影響で微妙に波打ってるような気がするんですけど?どなたかマミヤ6をご存知の方、情報下さったら幸いです。

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